日本は相変わらず人でいっぱいだった。ミスター・ウドーと彼の忠実なスタッフに再会できて嬉しかったし、コンサートもスムーズにうまくいき、すごくいいショーになったと思う。唯一の問題と言えば、これは日本に行く度いつもそうなんだが、日本の観客の控えめな反応に慣れるのが大変ということか。すごく喜んでくれているのは判るのだが、それでも信じられないぐらいお行儀がいいんだ。バンド側からみて、どういう状況かを説明してみよう。

舞台袖でチャーリー が「場内の照明を消して!」と指示するのを待つ。ヨーロッパやアメリカやその他の国だと、この時点で観客からどよめきが起こる。それは日本でも同じなのだが、ただそれが数秒で急に静まり、僕達は完全な沈黙の中、ステージへ出ていくことになる。たまに誰か(大体は僕達のクリューの誰か)が咳をするのが聞こえる以外には、会場全体が息を凝らしているような静けさに包まれ、まるで観客が身を乗り出す音が聞こえるぐらいだ。果たして会場に人が居るのかと疑いたくなるほど不気味だ。だから演奏を始めて、ちゃんと観客が居るのを目にするとホッとする。

もちろん場所によってはもう少し騒がしい観客もいる。その意味で今回の東京公演の観客はいい反応をしてくれたし、実際演奏を始めると、どこの観客も素晴らしい反応を示してくれる。僕が特に気に入ったのは仙台だった。もう一つ慣れるのに苦労するのは、コンサートが早く始まるということ。大体6時半ぐらいからで、前座もなし。それでもとにかく僕達はあちこちでコンサートをして、日本中にパーペンディキュラーの旗を立てた。東京ではミスター・ウドーの招待で素晴らしい食事を御馳走になったが、その席でイアン・ギランが彼に乾杯をしようと提唱したのは、94年に、僕達が一番助けを必要としていた時期に支持してくれてありがとうという感謝の意がこもっていたんだ。

日本を発つ頃には僕達は意気揚々、次の地でツアーを続けるのが楽しみだ。さあ待っていろよ、北アメリカ。

RG


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